クリニックモール~地域医療の最適化~

ここ数年でクリニックモールの開業が増加しています。
その要因の一つとして、国の政策では中核病院の病床数を減らし、不必要な入院を減らすことで医療費の削減に取り組んでいる事があげられます。
この目減りした医療サービスの補填を診療所等が担わなければならくなり、それを効率的に実施できる一つの選択肢として、クリニックモールの活用が期待されています。
今回は、注目されているクリニックモールの現状から今後の展望について、解説していきます。
過去ブログにクリニックモールについて解説していますので併せてご覧ください:医療(クリニック)モール開業のメリット・デメリット
クリニックモールのニーズと今後の展望
クリニックモール(医療モール)とは、複数のクリニックと調剤薬局が集まった施設で、患者視点では、複数の専門医療を受診できて処方までワンストップでおこなえる便利な施設となります。
主に都心部において拡大傾向にありますが、その形態もビル型・ビレッジ型・併設型と様々ございます。
特に地方都市でクリニックモールが開設される場所としては、商業施設が中心となっています。
施設内にはクリニック以外にも様々なテナントが入居しており、クリニック同士の連携、テナント間の相乗効果もあり、なにより地域住民のニーズが高いことから、まさに三方良しの最良な形態であるといえます。
一見すると小規模病院・クリニックが分散したほうが利便性が高いようにも思いますが、人口構造の変化により病院規模の人員確保も難しく、医療需要が見込めないことで、医業経営が厳しい状況に閉業される病院・クリニックが多いのが現状です。
このことから、厚生労働省が推奨されている「地域包括ケアシステム」への対応としても、クリニックモールは大きな役割を担っています。
国の施策で病床削減が進められていますが、高齢化が進む現状から中長期的に見ると患者数は減少する、その一方で医師数は増加傾向となり、診療科にもよりますが供給過多となれば、開業されるドクターが多くなり、集患に有利な競争力のあるクリニックモールは有力な開業地として、開業医から注目されているのだと考えます。

・厚生労働省_令和2(2020)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況からの抜粋
※人口10万人あたりの医師数では、1982年@141.5人に対して、2020年@269.2人と約2倍に増えていますので、地域差はあると思いますが、開業にはかなり競争の激しい環境であると言えます。
まとめ
開業ニーズは様々ですが、「負担なく診療したい」「戦略的に先端医療機器整備したい」「経済的な安定を重視したい」等、それぞれ優先順位はあるかと思いますが、事業である以上は最低限の収益化が見込める物件を選定されるはずです。
今回はクリニックモールを解説しましたが、物件にはメリットもあればデメリットもありますので、総合評価をする必要があります。
(例)モール内の制約、他院・テナントとの人間関係、モール自体の評判が悪い等
また、路面、建貸、事業承継と初期投資費用により様々な方法で開業候補地を選定する方法もございますので、1件だけにこだわらず、それぞれの物件ポテンシャルをしっかり把握して、比較できるよう選択肢は多ければ多いほど良いのではないでしょうか。
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