新規開業の規制
2024年6月21日、経済財政運営と改革の基本方針2024~が閣議決定され、医療分野においては、医療DX推進、かかりつけ医機能強化などについて協議しています。
その中でも「医師数の適正化及び偏在是正」が掲げられ、その一環として「新規開業の規制」が検討されています。
これから開業される先生にとっては気になるところではないでしょうか。
今回は、閣議決定された内容と医師の適正化及び偏在対策についてお話ししていきます。
偏在対策の背景とは
様々な要因から、一つ挙げると診療所の増加です。
実はこれまで、外来医師多数区域において取り組みがなされてきたのですが、実施のところ、診療所数は増加傾向にあります。
厚生労働省の調査によると2023年時点で全国の無床診療所数が99,451施設あるそうです。
その大半が都市部であり、人口密集地域での開業が集中することで、都市部と地方では医療格差が生じてしまうわけです。
近年、開業医が多くなることで病院への勤務医が減少することも指摘されているようです。
その他、医師の過剰問題等が挙げられますが、「医療・介護サービスの提供体制等」の分野では以下の方針が明記されました。
「医師の地域間、診療科間、病院、診療所間の偏在の是正を図るため、医師確保計画を深化させるとともに、医師養成課程での地域枠の活用、大学病院からの医師の派遣、総合的な診療能力を有する医師の育成、リカレント教育の実施等の必要な人材を確保するための取組、経済的インセンティブによる偏在是正、医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の大幅な拡大等の規制的手法を組み合わせた取組の実施など、総合的な対策パッケージを2024年末までに策定する」
これにより、以下を重要項目として今後検討されていきます。
・医師養成課程での地域枠の活用
・大学病院からの医師の派遣
・総合的な診療能力を有する医師の育成
・リカレント教育(就労・学習を交互に繰り返す仕組み)実施等の必要な人材確保
・経済的インセンティブによる偏在是正
・医師少数区域等での勤務経験を求める管理者要件の大幅な拡大等の規制的手法を組み合わせた取組の実施
参考資料:医師養成課程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会
まとめ
具体的な方針について、厚生労働省医政局で実施されている「医師養成課程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」で2024年末までに方向性が決まる予定ですが、
とくに開業医にとって、経済的インセンティブによる偏在是正の動向がきになるところかと思います。
おそらく外来医師多数区域での開業においては一定の要件を課される可能性があり、地域にもよりますが、これから開業を予定する先生とって重要事項となりますので、今後の動向を注視する必要があるでしょう。
個人的な感想として、一方で医師多数地域で制限を設けるのであれば、医師少数区域では、より開業を推進するような手厚い助成をする仕組みも併せて検討するべきだと思いました。
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