クリニック開業の基礎知識① 経営基本計画(基本構想)

 

 クリニック開業では、テナント開業、戸建開業のいずれかの選択となりますが、その大きな違いは”準備資金”ではないでしょうか。

 開業される科目にもよりますが、一般的なテナント開業で5,000万前後、戸建て開業は規模にもよりますが、テナント開業と比較して低価格で開業ができますが、いずれも運転資金を含めると7,000万前後の準備資金が必要となるケースもございます。

 なかなか自己資金だけで賄うことは難しいので、金融機関から融資をいただくことになります。

 事業計画書はおおまかに「経営基本計画」「収支計画」「資金計画」の3つで構成されていますが、今回は 経営基本計画 について考えていきます。

経営基本計画(基本構想)

 経営基本計画は、冒頭の開業立地から、経営理念、経営戦略、人員計画、診療科目、ターゲット層など、クリニック開業における根幹となる基本構想部分となり、キモとなる部分を策定していきます。

 各項目を肉付けしていくのですが、まずはご自身のクリニックの経営理念からはじめると、各項目へのHowtoとなりやすく、紐づけが容易となります。

経営理念とは、開業されるクリニックの「使命」「目的」「方向性」です。

 例えば、”科目に特化した先端医療機器があり、高度な医療提供が可能”だとすると、その実現には設備投資が必要となり、開業地周辺のエリアマーケティング、月間どの程度の患者様に来院いただき何年かけて機器償却していくか、そのためには人員配置を変えよう、他の医療機関や介護施設との連携も必要だ等を書き出していきます。

 加えて、ご自身の過去の実績から未来に向けた分まで洗い出し、医師としての思いや熱意を理由として練りこめれば、各項目の数値や計画に「志」が加わり、よりよい経営理念として繋げることができます。

資金調達はおこないませんでしたが、私もSMA開業前には納得のいくまで考えました(笑)

注意点として、作る案の数は「少なすぎず、多すぎず」がポイントです。

 少なすぎると視野が狭くなってしまい、考えが広がりづらくなってしまう恐れがあり、反対に多く作りすぎてしまうと考えがまとまりにくくなってしまいます。

 案を1度作成したらしばらく時間をおいてみるのも良いでしょう。時間をおいてから再度確認をすることで、足りないものや不要な文言、より良い表現などが見つかることもあります。

また、客観的な視点から、何かおかしな点がないかを確認してもらうのもオススメします。

ポイント

 事業計画書作成は、開業前後にも大きく影響するとても大事なものとなります。 

 金融機関選びや融資交渉は、開業コンサルタント経由で行うことが多いのですが、アドバイスは受けても、経営基本計画の作成自体を開業コンサルタントに丸投げするのはやめたほうが良いでしょう。

融資をいただく際、審査面接での迂回質問等で違和感のある回答となったり、マイナス評価となってしまうこともございます。

 また、事業計画書だけでなく、先生の経営者としての適性や信用など人物本位での判断も重視とされますので、ご自身のプランとしてシッカリ理解したうえで挑みたいものです。

 ご自身で事業計画書を作成される方もいらっしゃいますが、収支・資金計画での指摘、エリアマーケティングがおろそかで根拠が見えない等、そのままでは金融機関の担当者に納得してもらえないこともあるようです。

 ”融資をいただく”を目的としているので、専門の開業コンサルタント、税理士にご相談することをオススメします。

ご相談はSMAへ

 SMAでは、医療業界に精通した専任コンサルタントが、医院開業をお考えの医師、経営改善や医業承継にお悩みの医療機関に向けて、医業経営や医療・介護施設の立ち上げ、移転や建替え、病院ブランディングに関する特有の課題に対応しています。

 特に弊社拠点のある青森県での小中規模施設開業においては、地域特性を理解したエリアマーケティングをはじめ、地元企業と連携したアフターフォロー体制の構築、経営面に配慮した設備計画の提供により地域に選ばれる施設づくりに貢献いたします。

今後開業を検討される医師や経営者のみなさまに少しでも多くの選択肢をお示しできるようご支援いたします。

 外部の知識やアイデアなどの資源を活用し、そこで創出したイノベーションを理想のかたちにしていく、それがSMAが目指すトータルソリューションです。