病院内の高度清潔・清潔区域での感染対策

 新型コロナウイルスが2020年1月15日に国内で初めて感染が確認され、新型コロナウイルスに感染した死亡者数は、厚生労働省の人口動態統計によると、約13万6000人となりました。

 このうち、高齢者(65歳以上)の死亡者数が約12万6000人とされ、全体の約95%を占めています。

 一方で、2023年5月から感染症法上の位置づけが「5類」に変更され、管理体制・公費縮小で実質緩和された状態ですが、その後も感染者数は増減を繰り返している状況です。

 新型コロナウイルスの発生により医療現場では、様々な感染対策がなされてきましたが、改めて感染対策の重要性を再認識した継続的な対策が求められるところです。

今回は、医療施設の中でも「高度清潔区域」「清潔区域」での感染対策についてお話ししていきます。

 

 高度清潔区域と清潔区域のいずれの区域も手術室が該当しますが、人工弁や人工関節を挿入する手術や、感染症リスクの高い・抵抗力が著しく低下した患者の手術等は高度清潔区域となる「バイオクリーン手術室」で行われます。

 一般的な手術室の清浄度がクラス10,000に対して、バイオクリーン手術室はクラス100となり、極めて清浄度が高く、塵もほとんどない特殊な空調システムで保たれた手術室になります。

 数値比較すると、一般手術室が清浄度が低い印象を受けるかもしれませんが、コチラも特殊な空調システムで保たれた手術室であることに変わりはなく、いずれもの手術室もHEPAフィルターを介して空調管理され、換気(外気量含む)に関しても、規定の回数を行い厳密に管理されています。

 医療現場では病院内を「高度清潔区域」「清潔区域」「準清潔区域」「一般清潔区域」「汚染管理区域/拡散防止区域」の5つでゾーニングされ管理されます。

※日本医療福祉設備協会 病院設備設計ガイドライン(空調設備編)より抜粋

 手術室での感染対策は、標準予防策と感染経路別予防策を基本とした環境管理がなされていますが、手洗い、消毒、マスク等の防護具の着用、医療廃棄物の取り扱い等の対策を講じて感染を予防することと、空気感染、飛沫感染、接触感染等を防ぐために感染経路を遮断することが重要となります。

 物理的に機器の滅菌や清掃消毒はもちろんのこと、目に見えない空気による感染経路を予防するためには、空調・清潔管理が必須となります。

 前項の感染対策に加え感染経路を予防するには、以下の環境管理測定業務を実施することで、対策することができます。

浮遊塵埃測定空気中の埃がクリーンルーム設定レベルを満たしているかを測定
浮遊細菌測定業務空気中の細菌検査
差圧測定室内空気の流れを測定(陽圧・陰圧)
風速・風量・換気回数の測定風速風量測定、1h当たりの換気回数算出、フィルタ交換の有無を確認
リーク測定フィルタ破損、詰まりやピンホール漏れ等を確認
HEPAフィルター交換おおよその目安として4年程度(使用時間:6,000時間)
中性能フィルター交換おおよその目安として2年程度(使用時間:2,000時間)
プレフィルター交換おおよその目安として3年程度を推奨
床の洗浄後、WAXの塗布作業

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