遠隔医療の重要性

先日、病理専門医と対談する機会をいただきました。

皆さん、「術中迅速病理診断」をご存じでしょうか?

「ん?なにそれ??」となる方が大半だと思います。

手術中に行う病理検査なのですが

一般的な病理検査は↓

1)採取された組織をホルマリンで固定

2)包埋処理、包埋処理で固まったブロックを薄切染色を施しプレパラート作成

3)完成したプレパラートを顕微鏡で観察し、病理状態を確認して病理診断

ここまでで、2日前後かかります。。。

名称にあるように、この作業を手術中に迅速に数分で完了させる(内容は割愛します)ことで、病理診断をもとに、適切な手術方法を選択できるのです。

結果、癌などの病巣の採り残しや、過剰な切除を防ぐことができるので、医療費軽減や患者様のQOL向上につながるという素晴らしいものです。

術中迅速病理診断を実施するには、病理医が現場にいないと行えません。

しかし、全国の病理専門医数は2726名と少数であり、どの病院でも実施できるものではないようです。

最近よく耳にするデジタル化という言葉がありますが、近年企業だけでなく行政においてもデジタル化の推進が求められています。

IT技術は今後ますます発展をしていき、とくに超高齢化社会にある日本は、社会全体のデジタル化が急務であり、遠隔医療のキモにあたる部分です。

医療分野でのデジタル化は、1990年代に電子カルテが誕生してから、2000年にIT基礎戦略が発表され様々なプランが議論されているのですが、法令や様々な問題から、実施されたもの、されないものが混在している状況です。

例えば、術中迅速病理診断をデジタル化したならば、少数病理医の問題、僻地にいながら精度の高い適切な医療を受けられる患者双方の問題が解決されます。

アナログからデジタルに置き換えるのではなく、アナログとデジタルそれぞれの利点を活かした運用が求められているのだと感じました。