開業医向けの補助金・助成金について
開業前後の主に資金面で役立つ制度として、補助金や助成金があります。
特に開業時に伴う投資は多岐にわたりますので、資金を圧縮する上でも活用していきたいところです。
また、開業後に使える補助金・助成金は、開業前と比べておよそ4倍もあり、これも有効活用することで、経営・運営に役立てられます。
今回は、開業医向けの補助金や助成金についてお話ししていきます。
補助金と助成金の違いは?
補助金は、主に厚生労働省が所轄の支援金であり、主に雇用・労働に関連を対象としています。
国や自治体の提示要件を満たせば申請可能ですが、開業時に活用できる補助金は少ないように思います。
助成金は、主に経済産業省が所轄の支援金であり、主に研究開発・IT分野ついて対象としています。
審査にとおらないと受給できないのが前者との違いです。
開業時に使える補助金・助成金
創業補助金
新たに開業を予定している事業者を対象に、創業初期に必要な経費を一部助成する制度で、経済産業省の認可を受けた地方自治体、公共団体、企業が助成事業をおこなっています。
事業承継補助金
事業を継承した経営者を対象にした補助・助成制度で、医療法人は対象となりませんが、個人開業医で、中小企業基本法の中小企業に該当するのであれば申請可能です。
また、後継者承継型と事業再編・事業統合支援型の2種類あるので、それぞれ補助率は同じでも補助上限金額が異なります。
トライアル雇用助成金
試用期間を設けて雇用した場合のサポート補助金として月4万円の奨励金が支給されます。
対象者が母子家庭の母、父子家庭の父の場合では、1人につき5万円に増額に加えて、支給期間は最長3か月になります。
また、奨励金の受給にはトライアル雇用する人材の条件もありますが、記載事項が多い為、割愛させていただきますが、
クリニック側にも奨励金を受給する条件もございます。
・ハローワークへの求人掲載に加えて、ハローワーク・紹介事業者からの紹介により雇い入れること
・原則3カ月間のトライアルとすること
・1週間の所定労働時間が通常労働者と同程度であること
開業後に使える補助金・助成金
私の知っている限りで、開業後に使える補助金・助成金は12件前後ございます。
その事業の中には、枠組みやコースがあり、情報量としてかなり膨大となりますので、ここでは一部をご紹介します。
医療施設等施設設備費補助金
「医療施設等施設設備費補助金」ご存じの先生方も多いと思います。
へき地医療の確保、臨床研修医の研修環境などの充実を図ることを目的とした補助金です。
同補助金には多数の事業がありますが、
具体的には、へき地診療所整備事業(1/2、1カ所1,000万円)
過疎地域等特定診療所施設整備事業(1/2、1カ所2,500万円)
医師臨床研修病院研修医環境整備事業(1/3 基準面積(20㎡×研修医数)×基準単価(鉄筋コンクリート249,700円、グロック造217,800円、木造249,700円))
などに活用できます。
IT導入補助金
ご存じの方も多いと思いますが、主に中小企業が課題解決としてITツールを導入する際、その一部を補助するものです。
なんでも申請できるわけではなく、IT補助金事務所に登録されているITツールであることが条件となります。
A型:30万~150万未満(補助率1/2以内)
B型:150万~450万以下(補助率1/2以内)
◎ソフトウエア=5~50万以下の場合(補助率3/4以内)補助額50~350万の場合(補助率2/3以内)
◎ハードウエア=PCやタブレットなど:補助額10万まで(補助率1/2以内)、レジや券売機など:補助額20万まで(補助率1/2以内)
その他、事業再構築補助金、感染拡大防止支援金、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、特定求職者雇用開発助成金、職場定着支援助成金、地域紅葉開発助成金等
補助金・助成金の留意事項
申請にあたっては、公募期間(スケジュール確認)、対象者(申請要件の該否判断)、要件(公募要領の確認)について確認する必要があります。
特に公募期間(申し込み時期)については、開業前後に活用するわけですから「補助金・助成金の申請から採択までのスケジュール」はとても大事です。
また、虚偽の申請による不正受給、補助金の目的以外の利用等の不正行為が判明した場合は、交付決定取り消しだけでなく、受給した当該補助金の返還に加えて、5年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金に処されることになります。
不本意だったとしても、ペナルティーは避けられないでしょう。
国や自治体の予算と連動しているので、4月前後の公募が多い傾向にありますので、事前準備を万全に、ニーズに合った補助金・助成金を選択して、医業経営に役立てましょう。
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