2026年度診療報酬改定の動向~注目ポイント

「診療報酬」原則として2年に1回改訂されますが、2026年は改定年度となります。
これまで新年度開始の4月が通例でしたが、施策の追加等で2024年から6月に実施されるようになっていますので、2026年診療報酬改定も「2026年6月」になると考えます。
今回は2026年度の診療報酬改定の注目ポイントについてお話ししていきます。
注目ポイント
診療報酬改定は、基本的に診療行為の再評価・新設をしていくわけですが、改定する基準に「国の推進する医療政策」が主軸にあると考えます。
2024年の前回改定では、医療DX、地域医療構想、医師の偏在対策等について、かなり重視されており、メディアでも大きく取り上げられた印象です。
このことからも、国の医療政策・方針が主軸で進行する改定であることがわかります。

医療DXの推進
医療DXは国の肝いり政策の1つです。特に診療報酬DX、マイナンバーカードを保険証とするオンライン資格確認、電カル情報の共有化が進む予定です。
DXを活用する医療機関への加算や新たな評価指標が検討されると予測します。

地域医療構想による医療提供体制の構築
地域医療構想とは、将来の人口減少と高齢化を予測、病床適正化(減少)して、在宅医療を推進する国の政策です。病床減少により、増加する在宅医療への施策がポイントになります。これにともない高齢患者の救急搬送は再評価されるのではないでしょうか。

医師偏在・勤務環境の是正
医師偏在・勤務環境の是正、これまでも議論されてきましたが、都市と地方の医師数格差は依然として改善されません。
2024年に導入された医師の働き方改革に加え、なんらかのインセンティブとしての評価・診療点数加算が検討されるのではないでしょうか。
医療技術の評価
これまでの診療報酬改定では、医療技術の評価は重点的なテーマとして議論され改定されてきましたが、新たな医療技術への評価について、基準・点数設定・加算について反映されることも予測されます。
医療の高度化に伴い、AIを活用した検査・画像診断・ロボット支援による手術は前回改定で対象となっており、2026年診療報酬改定においても同様に次世代の医療技術が焦点になるのではないでしょうか。
ここ数年で普及されているものなので、ガイドラインやこれらの導入でどのていど医療費が削減されたか、アウトカム改善効果等の実務データを参考に協議または再検討されていると考えます。
まとめ
2026年診療報酬改定についてお話してきましたが、大枠で昨今の社会情勢による物価高への対応が1番求められているところだと思います。
消費者物価指数(CPI)は、2020年から上昇して、2025年現在では対比10%程度増えているので、単純にサービス・物品が10%程度値上がりしている状況です。
1990年代から2020年まではデフレで推移していたので、それに賃金の上昇が追い付いていないことが、より物価高として実感されるところです。
これは、民間企業も含めて医療現場においても同様で、つまり従来と同様のサービスを提供するには、より多くのお金が必要になるということです。
医業経営では、その収益の大半が診療報酬となることから、単にプラス改定だけではなく、医業経営が持続可能なものとして、特に働き手の不足とならぬよう、医療体制の維持につながる診療報酬改定となるよう願うばかりです。
これからさらに議論も活発に行われていきますので、その動向をチェックしながら、引き続きブログをアップしていきます。
(参考資料)
厚生労働省_医療DXの更なる推進について 医療機関を取り巻く状況について 令和6年度診療報酬改定について
総務省統計局_消費者物価指数(CPI)
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