診療科目別~開業ポイント<眼科>

 眼科の開業において、大半のドクターは日帰り手術を想定した開業をお考えだと思います。

 勿論、日帰り手術を実施した件数の収益が増えていくわけですが、手術あり・なしで収支だけでなく事業計画も大きく変わってきますので、診療科目別開業ポイントして、今回は眼科開業についてお話ししていきます。

まずは開業に伴う初期投資費用について比較すると、手術あり・なしでは、土地面積・内装工事費・医療機器構成が変わりますので、初期投資額が大きく異なります。

手術なし手術あり
土地面積30~50坪50~60坪
内装工事費3,000万前後5,000万前後
医療機器3,000万前後4,500万前後
合計金額(概算)6,000万円9,500万円

 

また、事業計画作成する上で収支計画は、外来での保険診療とは別で管理・計画しましょう。

部門別(外来と手術)損益を適正に管理することで、経営バランスを図っていきます。

人件費についても同様に手術を行わない場合は、人員体制にも変更が生じますので、人件費も変動していきます。 

一方、手術を行う場合は、ORTを常勤か非常勤にする検討も必要になりますので、今後の医業経営をしっかり考慮した採用計画が必要となってきます。

 比較表のとおり、手術実施の場合は、医療機器が高額になりますので、それを考慮して保守・損害保険・税金などを予算の中に計上しておく必要もあります。

 医療機器の選定においては、各社医療機器メーカーから様々な提案を比較したうえで、コスト・利便性・リースか否かを総合的に評価する必要があります。また、程度の良い中古医療機器を選定するとさらなるコスト圧縮に寄与するでしょう。

また、一般の区域と違って手術室には高い空気清浄度などが求められることから専門業者への委託で高額になるケースもございます。

※弊社の環境管理・測定サービスでの協力会社でも手術室施工はご案内できますのでお気軽に申し付けください

 開業前に運転資金・収支計画を正確に算出するのは難しく、特に想定手術件数は目標に近い試算かと思いますので、来院患者数、手術件数を月次で算出して収支計画をたて、まずは損益分岐点を把握した上で、事業資金がショートしないよう余剰を持った計画にしましょう。

経営戦略においても手術実施か否かがポイントとなります。

開業地の選定において、診療圏調査での数値をもとに収支シミュレーションしますが、手術実施の場合において特に競合クリニックの調査(手術実施件数等)を可能な限り正確に行うことをオススメします。

開業地を起点に地域にもよりますが、半径5キロ圏内で手術実施している競合クリニックの状況を把握しましょう。

そのうえで競合クリニックと差別化するわけですが、例えば営業日と営業時間、駐車場有無、車いすでの乗り入れが容易である等、自院ならではの差別化戦略が必要となります。

 たとえば、商業施設内のクリニックモールでの開業の場合、眼鏡・コンタクト店があれば相乗効果も見込め、さらにモール内の診療科との連携で集患対策を行うことも可能であり、そもそも商業施設自体の集客=集患対策となりますので、こういった開業形態では、すでに様々な差別化がなされており、厚労省が推進する地域包括ケアに近い環境であるのでオススメです。

 また、最近はバリアフリー設計がマストですが、やはり手術を求める大半が高齢者になると思いますので、受付から手術室・トイレ等の動線を確保したレイアウトも必要となりますが、眼科に特化した設計会社に依頼するだけでなく、些細なことでも後々後悔しないためにも、車いすの患者視点を含めてドクター自身も是非設計に関わってみてください。

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