2026年度 診療報酬改定「+3.09%」開業医への影響

 

2026年度診療報酬改定が3.09%増と決定されましたが、本体部分の3%超の引き上げは1994年以来の高水準となりました。

 その背景には、近年の物価高・賃金上昇によるもので、医療機関では、物価・人件費が高騰しても診療報酬に転嫁しづらく、診療報酬が据置きの状態では、それだけ収益を逼迫させていたということではないでしょうか。

政府の基本的な方針として「物価・人件費の上昇を踏まえた医療提供体制の安定確保」「医療・介護連携や地域包括ケアの推進「医師の働き方改革や医療DXの一層の推進」「財政健全化との両立」

財源(医療費)を重点化・効率化して社会保障財政の持続性に配慮しながら、長期的な改革を進めていく方針だと考えます。

+3.09%の内訳

 政府が発表した内訳は以下となります。

① 医療従事者への賃上げ対応=+1.70%

② 物価高騰への対応=+1.29%

③ 政策的な評価拡充=+0.25%

③ 効率化・適正化によるマイナス要因=-0.15%

減算含めた+3.09%は、ほぼ①②への対応となります。

物価・人件費の上昇を踏まえた医療提供体制の安定確保

 今回の改定で大幅に引き上げられるのが、賃上・物価対応による「ベースアップ評価料」と新たに新設される「物価対応料」です。

 入院料(食事・光熱費等)の基準引き上げも行われ、段階的に引き上げすることが予定されており、2027年度には2倍の点数となる方針。

 

 継続して賃上げに係る取組みを実施した保険医療機関には、初診時23点、再診時6点、訪問診療時107点を算定可能。

 これは政策的に、令和8年度以降も継続的に賃上げを実施する保健医療機関のほうが、新たに賃上げする保健医療機関よりも評価され、より多くの点数算定できる仕組みです。

 また、対象についても医療従事者から保健医療機関に勤務する職員となり、勤務するすべての職員まで拡大されています。

外来・在宅ベースアップ評価料(Ⅰ)の算定は、算定金額による給与改善率の見込みが1.2%以上のベースアップで届出ることで算定できます。

 ベースアップ評価料と比較すると小さい印象ですが、そもそもこれまでにない新設評価となりますので、年単位で考えた場合、外来数・回数の多いクリニックでは有益となりそうです。

その他

電子的診療情報連携体制整備加算の新設

 医療DX推進体制整備加算と医療情報取得加算は「電子的診療情報連携体制整備加算」に統合され、初診時に施設基準に応じて15点、9点、4点、再診時に2点が算定できますが、算定にはサイバーセキュリティ―対策が要件化され、「明細書発行体制等加算」との併用算定が不可となるので注意が必要です。

生活習慣病管理料と特定疾患療養管理料の見直し

 生活習慣病管理料の要件が見直しされ、新たに「眼科医療機関間連携強化加算」「歯科医療機関連携強化加算」が新設されます。糖尿病を主病とする患者について、眼科・歯科が連携した場合に、患者一人につき年一回、60点を加算できます。また特定疾患療養管理料については、算定除外と要件の追加がなされています。

かかりつけ医機能報告制度関連の見直し

 今回の改定で「認知症地域包括診療料・加算」と統合され、同加算のなかで「認知症を有する患者等の場合」と「その他慢性疾患等を有する患者の場合」とで分ける調整が行われました。

機能強化加算の施設基準に業務継続計画(BCP)の策定が追加

 開業準備時に災害のためのBCP対策をご準備しておきましょう。

外来医師過多区域に関する対応

前回ブログ参照 クリニック過多地域での開業

外来医師過多区域に関する対応
時間外対応への評価

「時間外対応加算」が「時間外対応体制加算」へ名称変更、時間外対応体制加算Ⅰが7点、Ⅱが5点、Ⅲが4点、Ⅳが2点。

「遠隔電子処方箋活用加算」の新設

 オンライン診療など、遠隔電子処方箋活用加算=10点が新設されました。

「特定機能病院等紹介患者受入加算」の新設、「連携強化診療情報提供料」要件見直し

 特定機能病院等紹介患者受入加算=60点、特定機能病院、地域医療支援病院、紹介受信重点医療機関、病床数400床以上の病院から紹介を受けて初診を行った場合に加算可能。

「地域医療体制確保加算2」の新設

 医師の勤務環境・処遇の改善をおこなっている医療機関を評価するものとして、従来の「地域医療体制確保加算(620点)」を1として、「地域医療体制確保加算2(720点)」が新設されます。

ICT・AIの利活用に関する評価

 業務効率化や負担軽減を推進するという観点から、ICT、AI、IoTなどの利活用して、看護業務において見守り、記録、医療従事者間の情報共有にICT機器等を組織的に活用した場合に、入院基本料等に規定する看護要員の配置基準が1割以内の範囲で柔軟化されます。
 また、従来の「医師事務作業補助体制加算」についても、ICT、AI、IoTなどを組織的に活用して以下の業務効率化が実現した場合、医師事務作業補助者1人を最大1.3人として配置人数に算入可能。

参考:厚生労働省_中央社会保険医療協議会 総会(第647回) 議事次第

   厚生労働省_中医協 総-2 3.12.24 診療報酬改定について

   厚生労働省_医療法等の一部を改正する法律の成立について(報告)  

まとめ

 2026年診療報酬改定(本体部分の+3.09%)は、物価高・人件費高騰への補填に重点が置かれました。

 一方で、医療DXの義務化推進として、オンライン資格確認、電子処方箋、電子カルテ情報共有サービスの活用等のDX対応が収益維持の必須条件となり、物理的にICT機器の整備も必要となってきます。

 この設備投資の件で、弊社が定期訪問している医療機関は、直接的な運転資金確保したいというお声を多く伺います。

 あたり前の話ですが、資金調達後は返済しなければならないので、高補助率、対象品目の多い補助金を活用することで、間接的に経費減していくことも対策の1つとして、同時進行することをおすすめしています。

※厚生労働省_「令和8年度 医療分野における業務効率化・職場環境改善支援事業」(補助率5分の4)上限8,000万円

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