MCP (Medical Continuity Plan)とは

 

MCPとは「Medical Continuity Plan=事業継続計画」の略です。

主に災害等の緊急時に低下する業務遂行能力を補う計画で、その指揮命令系統を確立して、人材、資源等を事前に整備しておく仕組みです。

一方、医療機関におけるBCPは民間企業とは異なる部分もあるため、MCP「Medical Continuity Plan=医療継続計画」と呼ばれることがります。

私はMCP、BCPを使い分けしていますが、「災害に対する計画」は同じであり、とくに地域にとって、災害時に需要が高まる医療機関におけるMCPは重要だと考えます。

診療需要への対策

通常のBCP対策とは違い、医療機関では災害により「新たな医療需要」が生まれ、むしろ平時より多くの医療需要が発生する可能性があります。

国内外で発生する多くの災害は、

物理的変動による「地震」「津波」「火山噴火」等

悪天候に起因する「台風」「洪水」等

二次的な被害や人的な要因とする「火事」「事故」「紛争」など幅広く、規模や頻度も様々です。

これら多様な災害から発生する「感染症」昨今のコロナウイルスやインフルエンザ等も災害の一つに考えられます。

そのため、平時の医療需要以上の医療提供能力が求められることから、対策・体制作りを検討しなくてはなりません。

ライフライン・インフラへの対策

当該地域のライフライン復旧について、復旧までの見込みを立てておく必要がります。

これにより設備等を検討していきます。

各自治体へ問い合わせましょう。

例)5日で電源が復旧する見込みがあれば、5日間使用可能な非常電源設備を整えていく

インフラ対策については、病床を有する病院であれば必ず盛り込まれている「建物の耐震性」、非常電源、給水設備、非常用ガス設備等の「ライフラインの確保」、そして外部との連絡手段の確保「通信手段の確保」です。

医療機関においては、平時以上の医療需要が多くなるため、とくに医療機器等による電力消費が多くなる可能性がございます。

上記のライフラインへの対策と併せて検討していきます。

MCPを実施するスタッフの確保、指揮命令系統の確立

医療を提供する人材の確保、緊急時に召集する仕組みについても検討します。

緊急事態で連絡手段がない場合でも、各自で集合できる等ルールを決めておく、緊急時のスムーズな人材招集は重要です。

しかし、計画どうりに召集できるとも限りません。

MCP対策チームのリーダーが集まらない可能性も十分ありえます。

そので、院長不在、リーダー不在時においても、指揮命令系統がシッカリ機能するMCP計画が求められます。

業務の優先順位、無駄なく医療提供できる仕組み、既存の医療業務の洗い出しを行い、非常時の診療マニュアルも含めて準備し、また災害を想定した定期訓練を行い、災害に備える必要があります。

MCP・BCP策定への課題

MCP・BCP策定の一番のハードルは「負担」です。

通常業務に追われながら、前途のような対策・計画策定にかける「労力」と「設備費用」はとても大きな負担となるでしょう。

災害拠点病院ですら、令和3年にようやく100%の策定率となっているくらいです。

救急・災害医療提供等の在り方検討会で報告されているとおり、将来的には全医療機関でMCP策定をしていく流れにあるようです。

周産期母子医療センターについては令和4年3月BCP対策義務化となっており、今後は救命救急センターについても規定が急がれているところです。

また、災害発生リスクの高い地域に存在する医療機関(各地域のハザードマップ参照)では、有床診療所(クリニック)も案に含まれています。

厚生労働省、各自治体によってMCP・BCP策定に活用できる補助金・助成金もありますので、シッカリ活用して準備していきたいところです。

補助金・助成金については次回ブログでまとめます。

※第23回救急・災害医療提供等の在り方検討会 令和3年2月3日 資料2

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